インフレーション・抑制法(Inflation Reduction Act)により、来年2023年から、メディケア受給者のパートDでカバーされるワクチンの自己負担がなくなりました。例えば、shingles ワクチンもパートDなので自己負担ゼロです!詳細(下の方までスクロールして下さい)
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メディケア受給者に朗報!その1 メディケアのインスリン製剤の自己負担 2022.10.5
インフレーション・抑制法(Inflation Reduction Act)により、来年2023年から、メディケア受給者のパートDのインスリン製剤の自己負担は、1か月35㌦が上限になりました。免責金(ディダクティブルは適応されないので、上限35ドルで購入できます!
インスリン製剤の例:Humalog, Novolog, FlexPen, Humulin, Tresiba, Lantus, Levemir
●CTやレントゲン検査で複数の請求書を受け取る理由
請求書は:①画像検査施設のCTやレントゲン撮影料と、②その画像を読影する放射線医のドクターフィーの2種類が出ます。
②は、基本的に放射線医は、画像検査施設に勤務しているわけでなく、読影の契約を交わしているだけなので、自分のオフィスからドクターフィーとして直接患者さんに読影料を請求するのです。
●アージェント・ケア・クリニックとコンビニエンス・クリニックを使いこなす
–アージェント・ケア・クリニック:平日にすぐに掛かりつけ医や専門医の予約が取れない、あるいは休日の場合、予約不要で掛かれます。一命を脅かすような病気や怪我(←ERに行ってください。)ではなく、応急処置が必要な軽度骨折の処置、切り傷の縫合、急な病気(風邪や発熱)に利用できます。
–コンビニエンス・クリニック:CVSのミニットクリニックのように薬局やターゲット、ウオールマートなどに併設される簡易クリニック。こちらも、予約不要で、ある程度自分で判断できる症状(プール目、ドライアイ、物貰い、発熱など)、各種健康診断(就学時健康診断、スポーツ部活検診)、予防接種、生活習慣病のモニタリングや脂質検査などの血液検査で掛かれます。
ミニット・クリニックは、自費料金表がHPで公開され、自分の保険が使えない場合も自費でも良心価格で掛かれます。
コンビニエンス・クリニックは、イメージ的には、学校の保険室がアップグレードしたような感じです。それに対して、多くのアージェントケア・クリニックは、レントゲン施設があるので、ある程度の治療までしてくれる総合診療所のような感じです。
●HMOとPPOの違いは分かるけど、実際に使うとどのような違いがでるの?
私が現地のシニアセンターでメディケアの相談を受けていると、7割ぐらいのアメリカ人が、HMOとPPOって何?と質問を受けます。ネットワーク・プロバイダー、リファーラル(紹介状)などについて説明しても、じゃあ、なんなの?そこで、いつも次のような実例を挙げています。
(最近は、各保険により多少ルールが違うことがあるので、概要について書きます。)
●HMOは、保険会社の契約医療機関(ネットワーク・プロバイダー)に限定して利用が可能となり、掛かりつけ医を通じて専門医に受診できます。契約外医療機関(アウト・オブ・ネットワーク・プロバイダー)での治療は保険適応外です。
●PPOは、HMOより自己負担額は高くなりますが、契約外医療機関に掛かってもある程度保険が支払ってくれます。専門医にも直接受診してもらうことが可能です。
これを相談者の状況に合わせて説明します。
例えば、太郎さんには、掛かりつけ医のエドワード先生に掛かっています。来年、人工関節置換術で近所で評判の高い整形外科医への受診を予定しています。さらに、太郎さんは州外への出張や長期滞在もあります。
●太郎さんのHMO型保険は、掛かりつけ医は契約医療機関です。しかし、太郎さんが掛かりたい整形外科医は、契約外医療機関なので保険適応になりません。→専門医が契約医療機関であるHMOを探すか、PPOを検討。
●州外で医療機関に掛かる場合は、距離的に掛かりつけ医に掛かれないため、全米型ネットワークを持つPPOを検討。あるいは、HMO型タイプの保険でも、全米どこからでもアクセスできるオンライン診療や、アージェントケア、リテールクリニック(CVSやウオールグリーン内の簡易診療所)の給付がついていれば、ちょっとした病気や怪我に対応できます。
最近のアメリカの健康保険は、全米をカバーするタイプが減り、地元の契約機関に限定したタイプが増えているようです。全米型か地元型など保険カードに明記されていないことが多く、最適な保険選びは容易ではありません。
病気になって初めて自分の保険では、受診したい専門医や医療機関が契約外であることに気づいて相談に来られる人が後を絶ちません。医療機関も、様々な種類の健康保険の患者さんを受け入れているので、どの保険がどうなのか、把握できないこともあります。
今一度、万一に備えてご自分の保険がHMO、PPOなのか、ネットワークはどうなのかなど、調べてみませんか。
●2022年のメディケア(パートB)の保険料は?
170ドル10セント(2022年)になりました。収入により保険料が上がりますが、多くの方にこの保険料が適応されます。
●メディケアの歴史
アメリカは民間医療保険が主流でしたので、多くの高齢者は、長い間、高額治療費のリスクを理由に民間医療保険に加入できなかったのです。低所得者は、保険料が払えないので民間医療保険に加入できません。こうして高齢者と低所得者の無保険が社会問題に発展していきました。
そこで、1965年にジョンソン大統領は、この問題を解決するためにソーシャル・セキュリティー法の改正法案(別名メディケア・メディケイド法案)に署名し、メディケア(Medicare)を65歳以上の高齢者ための公的保険、メディケイド(Medicaid)を低所得貧困者の公的保険として施行されました。メディケア申請は、連邦ソーシャル・セキュリティーのオフィスやHPから手続きするのは、このような背景があります。
メディケア開始当初は、連邦政府が運営するオリジナル・メディケアの1種類だけでした。オリジナル・メディケアに含まれるのは、パートA(病院やスキルド・ナーシングの入院給付)とパートB(ドクター・オフィスや外来治療給付)です。あれ?お薬の外来処方箋給付がない!そうなんです。開始当初はなかったのです。詳しい説明は後にします。
この時代に、メディケアの自己負担分をカバーするためのメディ・ギャップやメディケア・サプリメントと呼ばれる任意に加入できる民間保険も買えるようになりました。メディケアが支払わないギャップ(自己負担)をカバーするサプリメント(補助的)な保険と考えるとわかりやすいです。
1997年、連邦政府は、メディケア運営費削減のために、メディケアに民間医療保険会社の参加を認め、民間型メディケアが誕生しました。このメディケアは、メディケア・プラス・チョイス(Medicare +Choice)やチョイスのCをとって、パートCとも呼ばれるようになりました。しかし高齢者は、チョイス(Choice)のCから、新たな給付が選択できるのだろうかなどパートCの名称に混乱しました。そこで、民間型メディケアの呼び名はメディケア・アドバンテージに改名されました。これに対して、連邦政府型メディケアは、オリジナル・メディケアとして区別されるようになりました。
オリジナル・メディケア(連邦政府型)とメディケア・アドバンテージ(民間型)の大きな違いは、オリジナル・メディケアは全米ほとんどの医療機関に自由に掛かれる日本の健康保険のような保険です。メディケア・アドバンテージは、一般の民間医療保険がメディケアになったような保険なので民間保険特有の制限がついています。
2006年、メディケアに待望の外来処方箋薬給付が開始されました。これは、パートD呼ばれ、DrugのDのように覚えやすいです。パートDは、全て民間保険会社が運営し、オリジナル・メディケアとメディケア・アドバンテージ(→既に含まれている場合もあります)に組み合わせます。こうしてメディケアは、現在のように官と民がごっちゃ混ぜになった保険になりました。
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