私が現地のシニアセンターでメディケアの相談を受けていると、7割ぐらいのアメリカ人が、HMOとPPOって何?と質問を受けます。ネットワーク・プロバイダー、リファーラル(紹介状)などについて説明しても、じゃあ、なんなの?そこで、いつも次のような実例を挙げています。
(最近は、各保険により多少ルールが違うことがあるので、概要について書きます。)
●HMOは、保険会社の契約医療機関(ネットワーク・プロバイダー)に限定して利用が可能となり、掛かりつけ医を通じて専門医に受診できます。契約外医療機関(アウト・オブ・ネットワーク・プロバイダー)での治療は保険適応外です。
●PPOは、HMOより自己負担額は高くなりますが、契約外医療機関に掛かってもある程度保険が支払ってくれます。専門医にも直接受診してもらうことが可能です。
これを相談者の状況に合わせて説明します。
例えば、太郎さんには、掛かりつけ医のエドワード先生に掛かっています。来年、人工関節置換術で近所で評判の高い整形外科医への受診を予定しています。さらに、太郎さんは州外への出張や長期滞在もあります。
●太郎さんのHMO型保険は、掛かりつけ医は契約医療機関です。しかし、太郎さんが掛かりたい整形外科医は、契約外医療機関なので保険適応になりません。→専門医が契約医療機関であるHMOを探すか、PPOを検討。
●州外で医療機関に掛かる場合は、距離的に掛かりつけ医に掛かれないため、全米型ネットワークを持つPPOを検討。あるいは、HMO型タイプの保険でも、全米どこからでもアクセスできるオンライン診療や、アージェントケア、リテールクリニック(CVSやウオールグリーン内の簡易診療所)の給付がついていれば、ちょっとした病気や怪我に対応できます。
最近のアメリカの健康保険は、全米をカバーするタイプが減り、地元の契約機関に限定したタイプが増えているようです。全米型か地元型など保険カードに明記されていないことが多く、最適な保険選びは容易ではありません。
病気になって初めて自分の保険では、受診したい専門医や医療機関が契約外であることに気づいて相談に来られる人が後を絶ちません。医療機関も、様々な種類の健康保険の患者さんを受け入れているので、どの保険がどうなのか、把握できないこともあります。
今一度、万一に備えてご自分の保険がHMO、PPOなのか、ネットワークはどうなのかなど、調べてみませんか。